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めみみはなくち
それのすべてで
焦がれているよ
じりじりと
みてる
いつも
みてる……さがしてる
指先でくすぐるみたいに
首筋をなでて
まとわりつく髪をすいたら
気持ちがよくて目をつぶる
やっぱり、不安定だ
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何度繰り返しても、わからないことのほうが、よほど多い。

空が白い日の表現を、わたしはいつも持ち得なくて、逡巡する。降り続く雨は秋には肌寒い。すこしだけ短くしたスカートからさらす足はじかに濡れてすごく冷える。母の買ってきたひしゃげた傘をかたむけて、後輩に当たる中学生たちの集団とすれちがう。線路沿いにさいた毒々しいオシロイバナは夏からずっと盛りだ。ビニール傘をさしたよれよれのジャケット姿のおじさんが向かいから歩いてきて、すれちがう瞬間、その人の手の中でライターがシュボッと爆ぜて、たばこのにおいがたなびいて消える。そんなかんじで短い距離をふらふら下校する。雨のしめった空気が、民家の垣根から飛び出した金木犀の香りをいっそう強くする。水煙にくるまれるみたいにして、ふわふわと、独特の甘い甘いせつないにおいが、ただよってきて、すごく強く香る。わたしはその瞬間幸福になる。
彼はなにを考えていたのだろう。この香りを嗅ぐとき、彼の胸を締め付けたものは、いったいなんだったのだろう。彼はどんなことを思いながら、この花のことを歌ったのだろう。
あと三ヶ月もすれば丸二年になるが、いなくなった彼の行方は杳として知れない。


それでも待っている人がいる。人目をはばからずさびしいと、好きだと泣けるあの子がいなくては、きっとうまくバランスがとれない。あの子がわすれるような日がくるなら、きっと世界中のあらゆるバランスが、バベルの塔みたいに崩れていくだろう。彼はまるで神なのだ。わたしたちにとって時々神になるのだ。卑怯だ。あの子には神を請うていつまでもいつまでも泣いていてもらいたいと、わたしをおいていかないで、わたしの気持ちがはなれていくときが来るならばそのときまで、ずっと立ち止ってしゃがみこんでいてもらいたいと、そう望むから、わたしのほうが卑怯なんだけど。
今日も幾人もがあの甘い香りを嗅いで胸を切なくさせるのだ。無駄に胸をさわがせたあらゆる人々が、それぞれの戦闘服に身を包んで、戦場へ向かったり、帰路に着いたり、しているのだ。
先輩がもうちょっとやさしかったらぼくは嘘なんかつかなかった ミツアミなんかしなかったしスカートもはかなかった 先輩が暴風雨みたいな大人に慣れてたらわたしは服なんか脱がなかった スカーフはきっちりしめていたし靴下だって履いたままだった だれだよ ねえ だれだよ

「少女であるうちに死んでしまいたい」

11月の風は乾いている。彼女の背中まである黒髪がぶわっと舞い上がり、激しく踊るのをぼくは感心しながらみつめていた。であったときの彼女の髪はもっと短かったのだ。よく伸ばしたものだ。
彼女のハンドモデルにでもなれそうな手が握り締めるフェンスは風が吹くたびにきしみ、鳥の鳴声のようにキィキィと音をたてた。ローファーはすでに脱がれ、足元にきっちりそろえてあったが、それではフェンスにのぼりづらいだろう。あいかわらず考えなしだなあ。
屋上にいるぶんいつもより近いところにある空はまっしろで、不穏だ。

「毎朝152円、税込」

女子高生でいるためにいったい幾ら支払ったのだろう。髪はてきとうに短く切って、スカートじゃなくてスラックスをはいているぼくにはまるで理解のおよばないことだった。だけど……。
悩んで揺れていまにもかききえそうな、刹那の美をたたえた彼女はすごくきれいだった。それは彼女が追い求めるカワイイとはちがった。

「ずっと若くてきれいなままでいたいの」

こちらをみつめる憂いをふくんだ瞳が、おどろくほど大人びていた。大人と子供のあいだを揺れ動いていた彼女のからだが、たしかに大人のほうにかたむていくのを僕は感じた。皮肉なことではあった。でも、何年たっても、どんなに老いても、彼女は果てしない少女のままであることが、はっきりと想像できた。ぼくは唐突に、そんな彼女をほしいと思った。

「あー…」
わたしは額に手を当てて天を仰いだ。ああ、やってしまった。惚れてしまった。
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