(no subject)

静寂の棺に息を吹き込んで
脆弱な己を責めては泣いて
届かないとは知っているけれど

今宵も誰もしらない星がひとつ失墜する


花には思いのほか栄養があるんだ

それを知ったのはあなたが死んだずっとあと

屍を埋めた土の中から花が一輪咲いていた

あなたの遺志を吸い上げて鮮烈に色づいていたのだ

落とした涙と声にならない慟哭が花を育む

身をかがめ口を寄せ、花片を一枚啄めば
夜の中舌先が潤う


思い出の中のいとしい人をあかく染めて行く