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窓からはレース編みのカーテンを突き抜けて白い光が溢れだし、室内はぼんやりと翳っている。静寂を蝉の声が覆い、時折ひぐらしがものがなしく鳴いている。
扇風機のゆるりとした風の中、ソーダ味のアイスキャンディをかじり、窓の前に立ってぼんやり外をみやる。抜けるような夏空はどこまでも高く、青い。白くふくらんだ入道雲が広がっている。しかし西の空はなんとなくぼんやりとして、日没の気配を漂わせ始めていた。
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わたしは少しだけ憂鬱になった。こういう夜は考えごとが止まらないからいやだ。じぶんが世界中でいちばん愚かで無力な痛々しい女に思える。
女の子が可愛くなろうとして何が悪いんだ。と、声を大にして言えないで、くすぶる。



ずっとこのときを待っていたの。
さらけ出された彼女の左手は白くすべらかで、おどろおどろしい傷痕どころか擦り傷ひとつなく、すらりと細く長い指のさきには、作り物のように形のいい桜貝の爪があった。
白魚の手が僕の頬をゆっくりとなぞった。そのときには僕はもうすでに彼女の虜になっていたし、白日のもとにそっとあばかれたうつくしい秘密の手に、ぎゅうと心臓をわしづかまれて、生涯僕は彼女のもとから離れられないのだろうと悟った。
頬のうえをすべるひんやりしたぬくもりを、僕はとらえた。やわらかい陶器の肌。口元まで導いてそうっと唇を落とすと、かすかに、秘密の匂いがした。


小指の先にそっとするあなたの控えめなキスが好き

凍える闇の中息も出来ずに


生々しく
どろっとした
ねっとりと
心臓に絡みつくような
どす黒い
いやあな嫉妬と
妬み


こころのモヤモヤのしょうたいが
それであったことをさとったとき
わたしは口に手を当てて泣きました
その手のひらのさきの爪には
お兄ちゃんにほどこしてもらった
可愛らしいネヰルが
ありました

妬みとは
こんなにも身近にあるものなのだと
知りました

横たわって
すこし泣きながら
思考を廻らせて見ると
紛れやうもなく
此の気の晴れない故とは
嫉妬であり
妬みでありました

とてもかなしいことだし
じぶんが醜悪な人間に思えて


じぶんの思い通りに
うまく事が運ばなくて
気分が悪かったし
己れの矮小さを知るたびに
厭になってしまったし


わたしを可愛くしてくれたあにさまは
数日前から
家に帰って来ません
兄のことですから
何処か をんなの処で
宜しくやっているので
御座ゐましょう

わたしの御腹のなかに
みにくい少女がいます
其の子は時々
わたしの子宮内膜を蹴ります
父親の居ない此の子を
産み落とすかどうか
わたしは随分と悩みましたが
わたしは産みました
大好きな人の遺伝子を嗣いだ
子どもでしたから

わたしは彼女に
かみつれと名づけました

彼女はとてもうつくしく育って居ます
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