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「少女であるうちに死んでしまいたい」

11月の風は乾いている。彼女の背中まである黒髪がぶわっと舞い上がり、激しく踊るのをぼくは感心しながらみつめていた。であったときの彼女の髪はもっと短かったのだ。よく伸ばしたものだ。
彼女のハンドモデルにでもなれそうな手が握り締めるフェンスは風が吹くたびにきしみ、鳥の鳴声のようにキィキィと音をたてた。ローファーはすでに脱がれ、足元にきっちりそろえてあったが、それではフェンスにのぼりづらいだろう。あいかわらず考えなしだなあ。
屋上にいるぶんいつもより近いところにある空はまっしろで、不穏だ。

「毎朝152円、税込」

女子高生でいるためにいったい幾ら支払ったのだろう。髪はてきとうに短く切って、スカートじゃなくてスラックスをはいているぼくにはまるで理解のおよばないことだった。だけど……。
悩んで揺れていまにもかききえそうな、刹那の美をたたえた彼女はすごくきれいだった。それは彼女が追い求めるカワイイとはちがった。

「ずっと若くてきれいなままでいたいの」

こちらをみつめる憂いをふくんだ瞳が、おどろくほど大人びていた。大人と子供のあいだを揺れ動いていた彼女のからだが、たしかに大人のほうにかたむていくのを僕は感じた。皮肉なことではあった。でも、何年たっても、どんなに老いても、彼女は果てしない少女のままであることが、はっきりと想像できた。ぼくは唐突に、そんな彼女をほしいと思った。
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ずいぶん豪快な料理だな、と兄は笑った。さすが父さん直伝、と。仕方ないじゃん、とわたしがむくれていると、兄は器を傾けてがつがつ食べ始めた。「いつも洒落たもんばっか食ってると、こういうのが恋しくなる」こんなときにまで女の存在を匂わせる兄の料理は、わたしとは対照的に繊細だ。それはいつも母から料理を習っていた結果なのだが、いかにも女の子受けがよさそうでこれまた腹立たしい。油っぽい麺に絡まったざく切りのキャベツをつまみ上げながら、わたしは昔兄が作ってくれたオムライスのことを思い返していた。

「未春、なに食べたい」
一月に一度ぐらいの割合で両親ともに不在の夜がきた。当時のわたしはまだ幼くて、父母がいったいどこでなにをしているのかまるで見当もつかなかった。けれど漠然とした不安は感じていた。かえってこないお帰りとか、ランドセルをおろしながら読むテーブルのうえの書き置きが嫌いだった。まだ明るいのに電気をつけ、部屋のすみのソファーに背中をぴったりつけて座り、本を読みながら時々部屋中を見回した。なにかこわいものがいないか確認していたのだ。一時間ぐらい経って兄が帰宅すると、そっけない態度をとりながら内心ほっとしていた。ふだんなら帰宅後すぐに遊びにいく兄も、書き置きに気づくと家にいてくれた。「今日はぜってーボス倒す」わざとらしく理由を述べながら兄が始めたゲーム画面をチラチラみながら、わたしは読書を再開した。

ゲームも読書も一段落し、もっともさびしい夜がくるとおもむろに兄は言った。
「なに食べたい」
わたしは本を閉じながら答える。
「……カレー」
「肉ない」
「じゃあ、カレーうどん」
「朝のごはん使わないともったいないだろ」
「お茶漬け」
「んなもん自分でやれ」
「ケーキ」
「ふざけんなコンビニ行け」
「……オムライス?」
「よし」
兄のいちばんの得意料理がそれだった。

兄の作るオムライスはケチャップを混ぜ、ハムと冷凍のミックスベジタブルを加えたライスに、薄くてバリバリに焦げた卵がのせられた、けして上手とは言いがたいものだった。けどわたしはこのオムライスが好きだった。
「うまいか?」と笑いかけてくれる兄が好きだった。
兄がおしゃれなカフェに出てくるようなふわふわでこじんまりしたオムライスを作るようになったのはいつからだろう? わたしはそれを見るだけで、食べたことはないけれど。




「フユちゃん、待って」
雪に足をとられてこっちに手を伸ばす廻谷くんを、わたしはどこか冷めた目で見ていた。
「春のとこに行くって、春はまだ先だよ。いまはまだ十二月だ」
「知ってる」
これだからわたしは十二月が嫌いなのだ。ああ、冬とはいつも、春に焦がれている。未だこない春に。――冬を嗣ぐものに。

つめたく冷えきった深淵へ
やさしく落とされて溶けてゆく夢を見た
そこは不思議とあたたかい

レコード店で知り合った彼は
年上の人だった
何もかもが大人だった
学ランにもブレザーにもあわない髪型をして
シンプルなシャツがよく似合ってた

やわらかい雨のふる日で
空はココナツミルクみたいだった
ふらりと立ち寄ったその店の
彼は魔法使い
エモ、オルタナティブ、ハードコア
ポストロックにダンスミュージック
円盤状の地図にそっと針を落とすと
世界旅行してるみたい


いつも名字にさんをつけて呼んだ
ずっとそうしていたかった
彼は名字にちゃんをつけて呼ぶようになった
ほんとは下の名前で呼んで欲しかった
そうする人があらわれるときは
それはきっと特別だと思ってたから

わたしのウォークマンと彼のアイポッドはゆるされざる垣根を越えて溶け合って
彼と向かい合うときはいつもコーヒーの匂いがした
家に呼んだときも
甘いアイスティーは自分だけで
初めて家族以外に淹れるコーヒーに
わたしはひどくどきどきしていた

初めてのちゃんとした男女交際が
ずっと年上の人だったから
なにが正しいのかいつもわからなかった
だれにも正解は聞けなかった
どろどろに溶け合うぐらいのキスをしたとき
ふと大人びたワンピースをかぶった自分のからだを見下ろして
全身の昂りが引いていった
指先が冷えてさびしくてわたしは泣きたかった
あのあつい熱は二度とかえってこなかったのだ

わかってたでしょう
わたしはきっと
何もかもが子供だった



レコードに針を落とすとき
あまいやわらかい夢の中に沈んでゆき
それから地球のあちこちへ旗を立てにゆく
あの魔法はきゅるきゅる音を立てて
やさしくよみがえる
彼はわたしの好きな本を時々読むらしい
わたしもあなたの好きな絵を食べたよ

先がみえなくて
誰か僕を認めてくれよと
むき出した太ももの細さや
束になった前髪をすいて主張するけれど
充実してるとみせかけて
本当は何度でも逆戻りで
辛くなって
吐き出した言葉が止まらないのさえ同じで

だけど

ちょっと違うのかもしれないんだ
みせかけてるもののなかに網をかけたら
なにか残ったかもしれないのだ
本当にそれだけが全てで
また新しい生活が始まる

僕はきっとなにか違うのかもしれない
長く編んだ艶々の黒髪とか
白セーラーの下のレースの束とか
そんなのに惑わされない人はいるのだ
僕が腹の奥になにをかかえているのか
僕が患っている周囲との齟齬に
エアーズ・ロックのような深々としてどうしようもないズレに
気づいてしまう人がいるのだろう
僕はどうしたらいい?
このとんでもないものを抱えて
隠しおおすことも出来ずに
ねえ、ほんとはもう、みんな気づいてるの?
気づいてるくせに知らんぷりしてくれてるの?
ねえ、おねがいだ、笑わないで

僕はまた昨日今日明日女の子でも男の子でもミツアミをするしほんのり色のついたリップを塗って靴下はきつく締め付ける紺だよ昨日今日明日どんなに憂鬱だってかわいらしい戦争が始まったって僕は僕は僕はわたしは…。
心理テストバトン
■最初に回す人を5人
フリーで


■次の接続詞に続けて文章を完成させてください。
みな独立した文章です。
1.「しかし」
正直な話わたしにはよくわかっていなかった。

2.「やがて」
空は白けていき、朝の眩しい光で視界はいっぱいに満ちた。

3.「ただ」
笑って欲しいだけだった、なーんちってね、良く出来ました。

4.「だって」
わたしってこうなのだもの。

5.「そして」
その夥しい数の嘘はなすすべもなくさらされて、彼という一人の人間は雑踏の片隅でぱったりと息絶えた。

6.「水たまりは」
嘘をつかない。

7.「あの子って」
愛されているのに気づかないんだ。

8.「今日の私は」
よく寝ます。

9.「すこしは」
わたしのことを好きになってくれたっていいじゃないの。

10.「涙は」
やっぱり出ないのだ。
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